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丸裸のディナー

特別な趣向

特別な趣向

今夜のディナーの主催者である冠司(カンジ)がテーブルを囲んだ6人の人物を前に話し始めた。
「それでは同窓会を始めたいと思います。その前に説明しておきます。今夜は苦い思いも楽しめるひとつの趣向を凝らしました。」

5人がカンジを観察するように見入っている。

「私達も大人になり、分別もつく年頃になりました。その代わり普段言いたいことも言えない、これ言ったら傷つくかな、変人だと思われるかな、と言った社会性や遠慮、相手を傷つけないように言葉を丸めて話したりしていますよね。」

まだテーブルには飲み物もない状態だから5人は大人しくカンジの話を聞いている。

「でも今夜はその枷を外したいと思います。つまりいつも思っていることをそのまま話すことが今夜のルールです。するとどうしてもキツい言葉がぶつけられると思いますが、そこでもう一つのルール、必ず反論してください。
そこで反論しないとただの虐めになってしまうので、その人が反論するまでいつまでも待つ。
これがルールです。」

季節は冬だが部屋に通されたときに(今夜の趣向ですからと)上着を脱がずに椅子に座るように案内されたため、この暖かい部屋では少し汗ばんでいる人もいる。話しているカンジが一番汗をかいていた。

「まだルールはあります。お前キツいこと言い過ぎ!と思ったらあちらにあるその人の名前が書いてあるカゴを指さしてください。カゴを指さされた人は問答無用で自分が身に着けているものをひとつ、必ずそのカゴの中に入れてください。それが社会性というタガを外した証です。」

女性3人が何それ!と言う顔を見合わせている。ここで初めてあだ名がツンという紺色のコートを着た女性が声を上げた。

「え、それって40代にもなって野球拳やれってこと!?」

「別に48のおばさんの裸なんで見たいと思わないって。もう50近いんだから40代で誤魔化すなよw」

普段から口の悪いシンが反論した。ツンは怒りに震え反論しようとしたところで勢いよくシンのカゴを指さした。

「ん??あ、あぁ、はいはい。ちょうど暑かったから先にコート失礼しますね~」

そういってシンは席からそんなに離れていないテーブルの上に置かれた大き目のカゴに自分のコートを脱いで入れた。その間に店員さんが入り口で注文していた飲み物をそれぞれのテーブルに配膳してくれた。落ち着いた店構えだが、個室に案内されたため他に客はおらず静かなものだった。

「と、いうわけで説明を再開します。ルールは至って簡単。正直に思ったことを話すこと。言われたら必ず反論すること。反論するまで他の人はただ待つこと。お前言い過ぎ!って思ったら相手のカゴを指さすこと。カゴを指さされたら問答無用で身に着けているものをカゴにひとつ入れること。以上です。他に必要なルールがあるんだったらいい大人なんだから話し合いで決めていきましょう。異論がある人は手を上げて?」

「ないようなので、早速始めたいと思います。お手元のグラスをお持ちください。それでは、夜が苦くも実りある夜になることを祈念致しまして、乾杯!」

こうして6人の20年ぶりの再会は、特別な趣向の元で幕をあけた。